土曜の午後、渋谷で

helvetica182006-07-15

不慣れな街。軽く迷うが、人に尋ね、無事到着。
PFF初観賞。
監督/脚本/撮影/編集 木村陽亮
『黒森歌舞伎〜僕が君に残したいもの〜』
血ではなく有志で受け継いでいる、
江戸時代からの山形・黒森歌舞伎。
毎年2月15日と17日、神社に奉納する。
それぞれに仕事を持ちながらの歌舞伎。
それに携わる人々の様々な思いが描かれていた。
ある役者は演ずることの壁にぶちあたり故郷と歌舞伎から離れた。
歌舞伎に対する情熱が足らないままでは、まったく伝わらないと。
東京で職に就いたが、数年後もう一度黒森で演ずることに挑戦する。
またある役者は、名役者といわれた祖父のように皆の心に残る役者を目指す。
そして祖父が伝えてくれた事を次世代に伝えようと努力する。
しかし妻の反対、新たな命の誕生、自身の病。
稽古場に飾られた彼の写真は力強い。

ドキュメンタリーとフィクションが入り交じる作品。
わかってはいたが、すっかりドキュメンタリーとして観てしまった。よかった。
大道具のおやじさんたち、床山担当、下座の方々、衣装担当・・・
舞台は役者だけが目立ちがちだが、裏側にはもっと大勢の人々が関わっている。
皆で一つの事を創り上げる楽しさ・難しさ・一体感・充実・泣き笑い、
またその余韻・・・思い出すことさまざま。
何かを創るって、いいもんだねぇ。


・最近読んだ本 野坂昭如火垂るの墓